禅者の一語・・コロナ騒ぎに痛めつけられた庶民をナイガシロにして、繁栄した国はあるか?

◆庶民を蔑ろにして繁栄した国はあるか?

碧巌録 第六十一則 風穴家国興盛 (ふけつ かこくこうせい)

【垂示】説法するぞと、告知の旗を立て、鐘や太鼓で人を集めて教導するのを宗師と呼ぼう。

また至道、未道の禅境(地)や、善悪さだかでない出来事を分別、裁定できる者を作家(さっけ)と呼ぼう。

また、火花散る刃(やいば)の間に立ち入って死活を論じ、求道者の境地を見計らって三十棒くらわすのも・・マア、それはそれとして・・ここに宇宙の森羅万象を総括する一句があるとスレバ・・どのように問答したものか。

試みに挙す、看よ。

 【垂示】垂示に云く、法幢(ほうどう)を建て、

     宗旨を立っするものは、また他は本分の宗師なり。

     龍蛇を定め、緇素(しそ)を分かつものは、

     すべからく是れ作家の知識なるべし。

     釼刃上(けんじんじょう)に殺活を論じ、

     棒頭上(ぼうとうじょう)に機宜(きぎ)を別つことは、

     則ちしばらく置く。

     且(しばら)く道(い)え、

     寰中(かんちゅう)の事を 獨據(どくきょ)するの一句、

     作麼生(そもさん)か商量せん。試みに挙す、看よ。

【本則】風穴延沼(ふけつえんしょう 第38則参照)が、座下の求道者に垂語(すいご)した。

この国家(社会)の出来事は、古今東西、政治と税金・・つまりは利権で成り立っている。

*殺人亡国兵器としか思えない原子力開発の、ホンのおこぼれのような平和利用とか、敵機を発見するレーダー変じて、便利なチンするレンジに化けたことを大喜びしたり、スマホ中毒の信号無視で交通事故が多発したり・・世のため人のためと称する国家の隆盛、文化の発達・・その大半は、ホントは無明の妄動、妄想の間違いではないのか・・

AI(人工知能)は、二十一世紀、第4次産業革命だろうが、はたして、人類の労働開放や幸福をもたらしてくれるものか・・どうか。

だが、この一塵(いちじん・行政、司法、産業、軍備)を発揮しないと国家は衰亡する。そして、現代社会のトドノツマリハ・・原爆か大災害かコロナ騒ぎか電気の使い過ぎの停電一発で、総てが闇となる・・リセット社会であること・・留意しよう。

後の編者、雪竇重顯(せっちょう じゅうけん・明覚大師・浙江省雪竇山資聖寺 980~1052)・・風穴の垂語が偉く気に入って、杖をこねくり回して座下の求道者に云った。

ドウダ・・この風穴の国家、社会文化論。意見に共鳴する眼の冴えた禅者がいるかナ?

 【本則】挙す。

  風穴、垂語して云く「もし一塵(いちじん)を立(りつ)すれば、家国興盛し、

  一塵を立せざれば、家国衰亡せん。

 【雪賓、拄杖(しゅじょう)を拈(ねん)じて云く「また同生同死底の衲僧(のうそう)有りや」】

【頌】自分の身が安心、安全なら、他のことはどうでもよい・・という輩は無視するとして、まずは自国の文化の発展に協力、努力しなければならない・・。そんな眉をひそめて心配顔の田舎老人は放っておくとして・・イヤ・・チョット待てよ・・民を忘れた国家は衰亡して、ことごとく歴史から消えてしまっているぞ。

ただ荒野に吹く野風、ジケジケした梅雨(コロナ騒ぎの)

街角の風景が無常を奏でる術(すべ)を知っている。

  【頌】野老(やろう)には従教(ゆい)せよ、眉(まゆ)をのべざることを。

   しばらく家国に雄基を立することをはからん。謀臣猛将は今いずこにかにある。

   万里の清風ただ自治す。

【附記】この則は、政治、主義、利権、社会制度にまつわる時代背景を考慮しなければならないことがあり「禅者の一語」公案解説に適切でありません。他に38則風穴祖師心印・・ともに公案とするより、禅の文学とか大衆演劇化のハシリと見た方が適当でないか・・と思います。

・・まるで千年前の平安時代を、現代人が批評するような味気なさがつきまといます。

風穴延沼(フケツ エンショウ896~973)唐朝末~宋朝の禅は、看話(カンナ)禅が主流になる時期に当たります。師弟の商量(禅問答)が儀式化して、悪く言えば芝居じみてきた時期です。達磨から六祖恵能までは、師と求道者の直接問答でしたが、この頃は、問答する為の問答・・問者と答者の、表現技巧(禅機)を、参列する観客(求道者)に見せる・・演劇的効果を持たせるものになったようです。

禅を戯曲化して演じて見せるような傾向は、現代日本の禅寺でも、滅びの前兆として、沢山の事例で散見できます。宗教の末法・・試練の時・・来たれりでしょう・・

*この則に因んで、今のご時世を見れば・・地球規模のコロナウイルスの行政の遅れる対応、マスコミの思わせぶりな報道・・東京オリンピックの開催の是非をめぐる政治・・隣国(中国、北朝鮮)の軍拡、恐喝外交、拉致、中東やイスラエルの騒動など、いったい千年後、どんな歴史的評価でいわれるのだろう・・と思います。

自裁死された西部邁先生ではないが、国民が拉致されても取り戻しに行けない自衛隊・・お仕着せの憲法にくるまれた、ふがいない日本社会と首相。放送を見たくない権利を認めない放送法(見ないのに受信料を取るNHK)など・・スマホで与えられた情報を追っかけまわすノ~テンキな若者・・人と生活にまつわる本質的な行動を忘れて、それこそ・・うつつ(現)をぬかすバーチャル社会が心配です。

人とIT社会のこれからがバランスの取れたものになるための課題は山積みです。