【禅者の一語】碧巌の歩記(あるき)NO6
碧巌録 第六則 雲門日日好日(うんもん にちにち こうにち)
【垂示】ありません。
【本則】(ある年・ある月)15日の朝どきに、座下の求道者たちに「禅ニヨル生活」を垂語した雲門文偃(うんもんぶんえん 852?~949・・無門関第二十一則 雲門乾屎橛・・ナント禅はクソカキベラ=トイレ紙だと喝破して禅への妄想を洗い流した・・雪峰義存の弟子・雲門宗開祖)
過ぎ去った事や、来るとも知れない未来への想いを、アレコレ問わない。
本日・・今のイマ・・
「空前絶後の一句を意見して見せよ」
誰ひとり発言スル者なし。
雲門みずから、かわって云った。
「日日是好日」(ニチニチ是レコウニチ)
【本則】挙す。雲門 垂語して云く
十五日已(い)前は 汝に問わず。
十五日已後は 一句を道将(どうしょう)し来れ。
(自ら代わって云く)
日日是れ好日
【頌】絶対を離れ 相対に下って、この宇宙に比較、比肩すべきものはない・・禅者の一語である。
おもむろに深山に聞こえる溪声を踏み分けて歩を進めれば・・
いま実を啄ばんで飛び去った鳥の姿も、ほしいままに映し出せよう。
草は勢いよく茂り、雲は低く垂れこめて区別のつかぬ天地一昧だ。
釈尊の十六弟子中、解空第一といわれる須菩提(すぼだい)尊者の宴坐した岩屋の周辺には梵天(帝釈天)が賛美した花ビラが舞い散っている。
この空生の虚空神。空見+外道=ドッチ・コッチの二人連れ・・指をパチンと鳴らして厳しく警醒せしめよ。虚空神(舜若多・シュンニャタ)と須菩提(スボダイ・空生)よ。
この場から逃げ出すなよ。
動いたら三十棒を喰らわすぞ。
【頌】一を去却(こきゃく)し 七を拈得(ねんとく)して、
上下四維(しゆい)に等匹(とうひつ)なし。
徐(おもむろ)に行(ゆい)て踏断(とうだん)す流水の声。
ほしいままにみて写し出す飛禽(ひきん)の跡。
草 茸茸(じょうじょう)煙 冪冪(べきべき)
空生巌畔花狼藉(くうしょうがんぱん はなろうぜき)
弾指(だんし)して悲しむに堪えたり 舜若多(しゅんにゃた)
動著(どうじゃく)することなかれ。
動著すれば三十棒。
【附記】徐行踏断流水声(おもむろに さいだんす りゅうすいのこえ)
縦観写出飛禽跡(ほしいままにみて うつしいだす ひきんのあと)
この七言二句の禅者の一語は・・臨済宗 見性の求道者に対しての師家による点検の句。この二句が納得できずして「日日是好日」は語れません。