◆独り おのれに問いかけよ・・

【禅者の一語】碧巌の歩記(あるき)NO17

菩提達磨「祖師西来意」・・何故、独り中国に来たのか? 己れに問いかけてみよう

    碧巌録 第十七則 香林 坐久成労(きょうりん ざきゅうじょうろう)

【垂示】圓悟が周囲に坐す求道者に垂示した。

達道の禅者は、曲げも伸ばしもできない鉄棒のような禅の「問い」に対し、スッパリと二つに断ち切るような手腕がなければならない。

イザ・・戦いに当り、号令をかける将軍が掛け声ばかりで、敵の矢玉を逃げ隠れするようなら、どうして戦争に勝てるものか。

一言半句、議論のスキを与えぬ透徹の禅者のことは、さておいて、大津波が押し寄せるようなド迫力の返事が返ってきたら、どうするか。看るがよい。

    【垂示】垂示に云く 

        釘を斬り 鉄を截(た)ち はじめて本分の宗師(そうし)となるべし。

        箭(せん・や)をさけ 刀にかくれて いずくんぞ よく通方の作者とならん。

        針箚(しんさつ)不入のところは、すなわち しばらく置く。

        白浪滔天(はくろう とうてん)の時、いかん。

        試みに挙す 看よ。

【本則】ある日、求道者が香林寺の澄遠老師に問いかけた。

「禅の始祖、菩提達磨はインドから、ワザワザ支那までやってきて、九年間も少林寺の洞穴で面壁坐禅をしたそうですが、その間、説教ひとつする訳でなし、イッタイ何しにやって来たのでしょうか」

香林「坐り過ぎで足が痺れてしまったノサ」

    【本則】挙す。僧、香林(きょうりん)に問う。

        「如何なるか 是れ 祖師西来(そしせいらい)の意」

        林云く「坐久成労(ざきゅうじょうろう)」

【頌】達磨さんが禅を持ち込んだお蔭で、アライザライの寺僧たちが、まるで馬の轡(くつわ)を嵌められ、荷を背負わされたように・・右往左往の有り様だ。

話に聞く、男勝りで石臼の大尻をした劉(りゅう)オバァサンが、解かったような問答を仕掛けて、子胡利蹤にどやされた様に・・一発、叩かれたらビックリして眼が覚めよう。

何時も禅者の答えに振り回されている寺僧の演義・・救い難いです。

独り坐禅で、納得の答えを発見してください。

   【頌】一箇両箇(りょうこ)千萬箇。

      籠頭(ろうとう)を脱却して角駄(かくだ)をおろす。

      左転右転(さてんうてん)後(しりえ)にしたがい来れば

      紫胡(しこ・子湖利蹤 しこりしょうの意)は

      劉鐵磨(りゅうてつま)を打つを要したり。

【附記】坐久成労・・長く坐っていた時・・「アア疲れた。足が痺れたワイ」などの日常用語。祖師西来の意は「達磨が中国に来て、お経ヒトツ翻訳もせず、説教ヒトツしないでヒタスラ九年間、面壁坐禅をしていたのは、どんな理由があったのか・・禅とは何ですか」・・との究極の問い。香林は首と胴体二つに切って捨てた

あっけにとられた求道者・・二の句が継げない有り様。

まず・・独り己(おのれ)に問いかけること。

正解は百点満点か・・零点のいずれか。

ホドホドの60点などありません。

他人の答えは、口から出まかせ・・嘘ばかりです。

   前回(18則で)坐久成労の言葉を【附記】冒頭に使いました。

   今回は、その表題「香林の坐久成労」が公案です。

  (この碧巌録意訳は、都合によりラストの百則から、逆に紹介しています)

香林澄遠(きょうりん ちょうおん908~987四川省出身)巴陵顥鑒・洞山守初とともに、雲門文偃(雲門宗初祖)に参禅した弟子。