碧巌の歩記 NO39//次回は新年1月を期して掲載致します

   ●人生・功罪の【目☆】は、どこにある?

 

   碧巌録 第三十九則 雲門花薬攔(うんもん かやくらん)

                   雲門金毛獅子(うんもん きんもうのしし)          

【垂示】圓悟が座下の求道者に垂示した。

悟道の禅者は、まるで虎が岩山から天下を睥睨(へいげい)しているようなものだ。求道未悟の者は、臭い檻の中の猿だ。自由もなければ、活気もない。

禅(佛性)は「一切衆生悉有佛性」・・総てのモノは悟り(仏性)を持つとの根本義で成立しているが、あらためて「悟り」とは何か?を問われると、暁の明星を看て大覚された釈尊のように、深くて深い求道発明の時節因縁がなければ、透過、見性することは難しい(とりわけ知的考察の鋭い者ほど迷いやすい。鼻先にクソをぶら下げて屁元をさがすような愚かしい行為になる・・故・澤木興道老師語録)だからムヤミやたらに求めても、決して青い鳥は飛んでこない。では、どうすればよいか・・名刀 正宗や虎徹のように、鍛冶師の爐鞴(ろはい。フイゴ)で百錬千鍛を受けるように、自らを坐禅のフイゴにかけることだ。二~三十年も坐禅を抜け目なく行えば、抜けば玉散る氷の刃(やいば)になっていよう。

さあ・・大用は現前して、佛性(禅)は、各自の眼前に、それこそ眼いっぱいにあるけれど、何を基準に目星をつけるのか?

    【垂示】垂示に云く、途中 受用底(じゅようてい)は、虎の山に似たるも、

     世諦(せたい)流布底(るふてい)は、猿の檻(かん)にあるが如し。

     佛性の義を知らんと欲せば、まさに時節因縁(じせついんねん)を観ずべく、

     百錬(ひゃくれん)の精金をきたえんと欲せば、

     これ作家の爐鞴(ろはい)をもちいよ。

     しばらく道え、

     大用現前底(だいようげんぜんてい)は、なにをもってか試験せん。

【本則】一つ禅話を示す。

ある日、庭の花の手入れをしている雲門文偃のところに求道者が来て問う。

「清浄法身(山川草木悉有佛性・禅)とは、どのようなものでありますか」

門云く「花薬攔」(花壇の花、言いようのない美しさだ)

僧云く「では、見るもの総て、如来法身と心得ます」

門云く「(あんまりだ・・それじゃアンタだけの・・)清浄だよ」

   【本則】挙す。僧 雲門に問う。

    「如何なるか 是れ清浄法身(しょうじょうほっしん)」

     門云く「花薬攔(かやくらん)」

     僧云く「すなわち什麼(いんも)にして去る時いかん」

     門云く「金毛の獅子」

【頌】雲門が花壇の花と答えたのに、ダマされてはならない。

言葉や文字は、ただの符牒(合言葉)にすぎない。

重さをはかるハカリの目星は、秤の棒についていて、載せたお皿にはないぞ。

「花薬攔」は、まさしく皿の中に載っていて目星ではない。

ハカリの目星に注意せよ。

   【頌】花薬攔を顢頇(ばんかん)することなかれ。

    星は秤(ひょう)にありて、盤(ばん)にはあらず。

    すなわち恁麼(いんも)とは はなはだ端(たん)なし。

    金毛の獅子を大家(たいか)みよ。

 

【附記】金毛の獅子とは、昔699年、則天武后が法蔵から華厳経の講義を受けた際、長生殿に片隅にあった金獅子像、置物を教材に、法界無盡の妙理を説いた逸話に基づく。大家を看よ・・とは、諸氏、みずから・・金毛の獅子を看るべし・・の意。何はともあれ、言葉について回れば誤解に誤解を重ねて、美しい花は(シャクヤクか牡丹か)見えてこない。

澤木興道老師について追記すれば・・

師は「発心 正しからざれば萬行むなし」と言われている。

坐禅して人様から尊敬される人間になってやろう、他人が仰ぎ見るような人になってやろうというようなことでは、坐禅しても無条件の坐禅ではなくて、ひもつきだから結局は坐禅にならない(中略)

むしろ看話(かんな)話頭のやりとり、駆け引きだけの興味になるであろう。(中略)道元禅師の只管打坐(しかんたざ)は、処世術でも技術でもない。人格そのものの真実である。

無常ということは、ただただ生きることである。

いかにして真実の生活をなすか・・の努力が・・佛、悟りの道の者なのである。何かのマネであったり、つくりものであったりしたならば、そんなものは人ごとであつても、佛(覚者)の道ではない。

佛道とは、いろいろな働きをする以前の、元の自分になること・・なのである。(中略)公案を用いる所では、確かに励みがついて一生懸命に坐禅するかもしれないが、励みがつくところに、我欲が知らず識らずの間に出張ってくる。そして、そこにあるものは、人生から遊離した自己の芸当である。                 

   「禅に生きる澤木興道」酒井得元著 誠信書房 昭和31年発行。

有(会)難とうございました。2018-12/31

 

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一休さんを紹介しています。2019-1-2