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「ソレッ!突っ立ってないで、何かひと言、道(い)ってみなさい・・

  • 碧巌の散策 第八十二回の歩記(あるき)である・・

碧巌録 第八十二則 大龍堅固法 (だいりゅう けんごほうしん)

【垂示】圓悟が座下の求道者に垂示して云った。

釣竿の先には、魚を懸ける釣り針に餌・・と決まっている。

禅者たるものが、求道の魚を釣り上げて、どんなものか検証しようとしても、チャントした具眼の魚なら、餌だけ取って、針には懸からないものだ。

達道の禅者が月並みでない計略で、こちらを説得しようとしても、こちらが作家でありさえすれば、いくら狡猾な手立てを講じようとしても、その手は桑名の焼きハマグリだ。

 

サア、その釣竿の餌とか・・探り釣りの技術や予想外の機略とか・・もともと、絶対の真理とは、どんなことを云うのか・・試みに挙す 看よ。

  *垂示に云く、竿頭(かんとう)の絲線(しせん)、具眼(ぐがん)はまさに知る。

   格外の機は、作家まさに辦(べん)ず。

   且らく道(い)え、作麼生(そもさん)か これ竿頭の絲線、格外の機なるぞ。

   試みに挙す 看よ。

 

【本則】ある日、洞庭湖畔、自然に抱かれた美しい大龍山に禅居する智洪を尋ねて来た、ひとりの求道者が問うた。

「吾が肉体は亡びます。では、堅固不滅の法身と言われるものは如何ですか」

大龍「どうだネ・・山野に咲き乱れる花をご覧ナ。あの渓谷の藍の如き水を看よ」

(これこそ、お前さんの探している法身の露現だよ)

  *擧す。僧 大龍に問う「色身(しきしん)は敗壊(はいこ)す。

   如何なるか これ堅固法身(けんごほっしん)

   龍云く「山花は開いて錦に似たり。

   澗水(かんすい)は湛(たた)えて藍(あい)のごとし」

 

【頌】この求道者・・せっかく達道の禅者、大龍に面接しながら、質問の仕方を知らない。

その親切な答えすら、合点していないようだ。

色身は淡雪の如しと思い込み、法身はダイヤモンドの如きと確信する、ガチガチ頭の持ち主だね。

大龍の言を、あえてネガテイブに言えば「巌山に月は冷ややかに,樹林には寒風吹きすさぶ・・」となるかナ。

禅者にとって、法身の当體は、春夏秋冬、人それぞれ、その悟境(地)は、いかようにも表現できるぞ。

しかし、概念、哲理に凝り固まった者には、、いきなり禅者に正面から出逢うと、どうしてよいか・・わからなくなる・・【香厳智閑(こうげんちかん)の問い・・路逢達道人(みちにたつどうのひととあわば)不将語黙對(ごもくをもって たいせざれ)無門関三十六則】のアリサマになったようだ。

ソレッ!突っ立ってないで、アとかウとか・・何か言いなさいヨ!

 

さすがだね・・禅者、大龍。手に白玉の鞭をとり、法身の名の宝珠を、ことごとく粉砕してしまった。

もし、堅固法身の撃砕に失敗するような失策をしでかしたなら、人騒がせな罪により、国家憲法三千條のどれかに該当して罰せられたであろう(大龍の履歴は生涯不詳)

 *問いもかって知らず、答えもまた會(え)せず。

  月は冷ややかに風は高し、古巖檜(こがんかんかい)に。

  笑うに堪(た)えたり 路に達道の人に逢わば、

  語黙(ごもく)をもって對(たい)せざれよとは。

  手に白玉の鞭(むち)をとって、驪珠(りじゅ)をことごとく撃砕(げきさい)せり。

  撃砕せざりしときば、瑕類(かるい)を増じるにならん。

  国に憲章(けんしょう)あり。三千條の罪。